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生活習慣病の運動療法


運動療法と食事療法は生活習慣病の要です。最近は世の中すべてが便利になりすぎて、人間は自分の体を使わなくなってしまいました。運動しなさいと指導されている患者さんの数は膨大です。

個人に適切な運動を継続すると、善玉コレステロールであるHDLコレステロールが増加し、悪玉コレステロールであるLDLコレステロールとトリグリセライド(中性脂肪)が減少します。また精神的ストレスの蓄積を発散し、基礎体力が向上するというようなメリットがあります。加えて、女性では更年期障害の諸症状も軽くしてくれます。これ以外にも、心臓病・脳卒中・肥満を予防し、高血圧、高脂血症、糖尿病などの生活習慣病の予防と治療に大変有効です。

まず、どのような運動療法を行うのが中高年の健康管理には得策なのでしょうか。運動療法を選択するなら、全身を使う軽い有酸素運動が最も適しています。「早歩き、水中歩行、ラジオ体操、サイクリング、太極拳」などをお勧めします。勝ち負けを競い合うもの、瞬発力が要求されるもの、急激なストップや方向転換が必要なもの、いきみながら力を出すものは、中高年の運動療法には向いていません。最初は楽な運動で十分です、楽しみながらできるレベルのものに挑戦してみましょう。


運動はヘトヘトになるまでやる必要はありません。激しい運動は関節や心臓に大きな負担をかけます。「軽く汗ばむ程度(最大運動能力の50パーセント程度)」の運動で効果があります。適切な運動療法の強さの目安としては、脈拍数を用います。


運動中の脈拍数(拍/分)=138−(年齢÷2)


この式の年齢にあなたの年齢を代入して、適切な運動負荷レベルを決めます。

60歳なら、適切な運動中の脈拍数は、138−(60÷2)=108(拍/分)となります。

運動は毎日休まず続けるものだと硬く考えてしますと、億劫になります。「一日に30―60分くらいの運動を週に3日以上」を目標にしましょう。体調が悪い日に運動をしても、あまり効用はありません。そんな日は、無理をしないで休みましょう。


運動の効果が現れるまでには時間がかかります。自分にあったペースで、じっくり続けていきましょう。あわせて、食べ過ぎに注意し標準体重を維持することを目指しましょう。運動療法をはじめて3ヶ月もたてば、体重が減り、体脂肪率が改善してくるはずです。もし体調が良くならないようなら、運動をした見返り以上に、食事内容が増えていないか確認してみましょう。

生活習慣病をお持ちの患者さんが、あらたに運動療法を開始するときには、あらかじめあなたの主治医に相談をしましょう。そして、ご自身にあった運動負荷レベルと運動量を指導してもらうのが安心です。あなた個人の運動の処方箋を主治医に作ってもらうと、さらに安心です。外来でこの相談にのるのは、私にとってとても楽しい事のひとつです。

運動前後には必ず準備運動を行い、マイペースで運動を継続しましょう。運動の前、中、後に適切に水分を補給することはとても大切です。運動開始後に、初めて気づいた症状があれば、主治医に相談してみましょう。とくに、胸痛、息切れ、頭痛、めまい、腰痛、関節痛、胸やけの出現や疲労感が強い場合など、気分がのらない場合には精密検査が必要なこともあります。十分に体調に気をつけて運動療法をご家族と一緒に生涯楽しんでください。


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