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高血圧について


概念
従来収縮期血圧が160mmHg以上あるいは拡張期血圧が95mmHg以上のいずれかを満たす例を高血圧者、収縮期血圧が 140mmHg未満および拡張期血圧が90mmHg未満のいずれをも満たす例を正常血圧者と定義して、この中間を境界域高血圧者と考えてきたが、昨今はさらに高血圧の定義は厳しくなり従来の境界型高血圧域から診療の対象とされるように変化してきた。 高血圧者のうちその原因が特定できない(すなわち二次性高血圧症を除外した)例を本態性(原因不明と言う意味)高血圧症と診断する。本症例の多くは中年以降に発症し慢性的な経過をたどるが罹患率が高いこと脳心腎などの主要臓器を侵すこと他の動脈硬化性疾患の経過に密接な影響を及ぼすことから世界的にも死亡原因の上位を占める。その成因には遺伝性があるものの詳細は不明である。しかし優れた降圧薬の開発により基本的な治療法は確立してきた。50歳代の半数は高血圧症例である。医師から高血圧と診断を受けて、がっかりしたり悲観したりする必要はまったくない。現在はすばらしい薬物療法がある。血圧を正常に保ちながら、豊かな老後を送って欲しいといつも願っている。 

自宅では血圧は低いのになぁ、白衣高血圧ってやつかな

血圧が高いことをなるべく早く認めよう。高血圧を放置することが如何に恐ろしいことかを知れば、高血圧を早期発見できたことに感謝し、生涯治療を継続しよう。中高年で老眼鏡をかけることが恥ではないのと同様に、高血圧も恥ではない。しかし老眼が根本的には治らないのと同じように、高血圧のほとんどを占める本態性高血圧は治癒はしない。老眼鏡が一生必要なら、高血圧の治療も一生必要だ。


病因と病気の成り立ち
本態性高血圧症とは病因が不明であることを本態性と言う言葉で表現している。遺伝性素因と環境因子の両者がそろって初めて発症すると考えられる。。遺伝は常染色体優性遺伝と考えられ環境因子としては食塩ストレス肥満などがある。

 血圧は血行動態上は心拍出量と末梢血管抵抗の積によって規定される。

血圧=心拍出量×末梢血管抵抗

1)心拍出量を増加させる要因:交感神経系の活性化と体液量の増加が主な要因だ。体液量の増加は腎からの塩分排泄の障害か塩分貯留因子の増加が原因である。ストレスは交感神経を活性化し、塩分の取りすぎは体液量を増加するので心拍出量が増加し、血圧が上昇する。
2)末梢抵抗の増加は抵抗血管自体の異常である局所因子と血管収縮性に作用する神経体液性因子の増加あるいは血管拡張因子の減少などが報告されている。高脂質血症などによる動脈硬化が末梢血管抵抗を増加し、血圧を上昇させる。

1)2)の因子には遺伝の影響が大きく関係するが、環境を整えることで血圧自己管理はある程度までは可能である。


家庭内血圧測定の重要性について
高血圧患者が家庭内にいようがいまいが、血圧計は一台購入しておこう。オムロンや松下の製品なら安心だ最初の一台は必ず上腕にマンシェットを巻きつけて測定するタイプの機械を選んで欲しい。1万円以下のもので充分だ。

高価なものはメモリー機能がついているだけで、別に特に正確に測定できるというわけではない。下手にメモリー機能がついていると、家族で使い回しがしづらい。高価なものは測定音が静かだ。電池で作動するものが便利だ。電池だけでも充分正確に何度も使用できる。指先で測るものは避けよう。手首で測定するものは、2台目ならいいだろう。手首で測定する場合は、トレンドをみるという使い方なら、背広を脱がなくても測定できるので便利だ。必ず心臓の高さに手首を持ち上げて測定するようにしよう。手首測定では誤差はプラスマイナス10mmHgはあるから、異常値が出たら上腕式のもので正確に再測定しよう。

家庭内血圧計を購入したら、ぜひ起き抜けの血圧を測定してみよう。血圧の薬を飲む前に血圧を測定してみよう。起き抜けの血圧が正常なら、高血圧の処方箋がよいと判断してください。朝一番の血圧が管理が困難で、この時間帯に心臓の事故が多い。早朝高血圧を認めるようならあなたの主治医としっかり相談してみよう。


頻度・疫学・雑学 
[本態性高血圧症] 血圧は加齢とともに上昇する。どの年齢層でも平均値としては男性が女性を上回る。女性では閉経後の発症が多い。したがって高血圧症の罹患率も高齢者で高く全人口の20%以上が高血圧である。日本では高血圧症が1,600万人境界域高血圧症が1,400万人との報告がある。地域差としては寒冷地に多い傾向があるが地域の食塩摂取量とよく相関する。

日本人の平均塩分摂取量は1日あたり13-15グラムである。高血圧の治療にあたってはこの塩分摂取を7グラムまでに制限する必要がある。ちなみに、塩分が自由に摂取できないアメリカ大陸奥地の現住民族の塩分摂取は1日数グラム以下であるがまったく健康上問題は生じない。生物が海から地上に進出する過程で、生物は塩分のない環境で生き抜くための進化を遂げた。少量の塩分を身体に保持する機能を身につけたのだ。これをJGA(傍糸球体装置)といい、両生類以上に進化した動物のみに認められる塩分保持作用を受け持つ腎臓内小器官である。この装置がある御陰で動物は塩分リッチな海から塩分の少ない地上に這い上がることが出来たのだが、現在の人類のように塩分を自由に製造し、食品に添加することが出来る様になったので、この装置の存在がNa蓄積による体液量を増加させかえって高血圧を発生させているという皮肉な状況を作っている。このことは、生物発生学的に非常に興味のある医学的問題とも解釈できる。海から地上に出た時点で塩分は必須であるが、極少量でまかなえるという進化を我々人類は遂げているのに、本能的に生命の母である大海の塩分の味が忘れられないところに高血圧の学問的面白さがある。

傍糸球体装置は神様の贈り物


高血圧の合併症

高血圧性合併症 動脈硬化性合併症
悪性高血圧 脳血栓
脳出血 心筋梗塞
左室肥大 狭心症
心不全 閉塞性動脈硬化症
腎不全
大動脈瘤

動脈内高血圧負荷が血管障害を起こすメカニズムとして以下のものがある。すなわち血管内皮細胞の収縮・断裂などの結果内皮の透過性が高まりまた同部への血小板の凝集およびマクロファージの侵入による成長因子の分泌が周辺の細胞増殖を促し血管の肥厚が生じる(Rossの仮説)。この結果血管内腔の狭小化が起こり(血管リモデリング)血管抵抗はさらに増加し血圧が上昇する。また末梢の諸臓器では血流不足状態となる。こうした変化は腎動脈脳動脈でよく認められる。心臓では後負荷の増大により壁張力の増加に対する代償反応として心筋肥大が生じる(求心性肥大)。この時血管の増生は伴わないで心筋は相対的に酸素需要が満たされなくなり心筋虚血に陥る。大血管では粥状動脈硬化が発生し動脈はやわらかさを完全に失い、その結果脈圧が増大血管障害をさらに進行させる。高度になると動脈瘤が発生する。病理解剖に立ち会った経験から言うと、若い人の大動脈はとても柔軟で触ってみるとやわらかいゴムホースの感触であるが、動脈硬化で死亡した患者さんの大動脈は朽ちた竹ざおの感触である。すなわち硬くて、脆い。 


臨床的特徴

中等度高血圧までは血圧値が高いこと以外には特徴的な症状・所見に乏しい。若年発症例ではしばしば心過動性を示し頻脈相対的収縮期高血圧動揺性高血圧を示しやすい。症状は頭痛(項部)肩凝りなど不定愁訴に近いがむしろ血圧が上昇し始めるときによくみられ固定してしまうと逆に消失することも多い。進行すると心肥大血管雑音などを認めるが理学的所見には乏しい。

自覚症状頭痛 眩暈 肩こり 息切れ 動悸 冷や汗 胸痛など
家族歴 脳卒中 心血管疾患 糖尿病 多発性嚢胞腎など
既往歴 腎疾患 心血管疾患 脳卒中 糖尿病 痛風 女性では妊娠中毒症の有無 閉経時期
治療歴 発症時期 血圧値 降圧薬名 効果 副作用 治療中断の有無
常用薬 ステロイド 漢方 抗炎症薬 抗うつ薬 避妊薬など
生活歴食習慣 運動 飲酒 喫煙ストレスなど

検査所見

検査の目的は二次性高血圧(原因がある高血圧は原因を取り去れば治癒する)の除外と高血圧性合併症の診断である。
日常的に行われる検査次に示す。中等症までの本態性高血圧症ではこれらに全く異常を認めないことも多い。

本態性高血圧のスクリーニング検査

胸部X線 心胸比・大動脈径・蛇行・石灰化
心電図 左室肥大・虚血性変化・低K性変化
尿 蛋白・糖・沈渣
血算 ヘモグロビン・ヘマトクリット・赤血球数・白血球数
血液生化学 クレアチニン・尿素窒素・尿酸・Na・K・Ca・総コレステロール・中性脂肪・HDLコレステロール・ブドウ糖・GOT・GPT・γGTP
心臓超音波検査 高血圧性心肥大・虚血性心疾患・大動脈瘤・心不全合併などの調査


合併症の検索

眼底所見、理学的所見頭部CTMRIあるいは頚動脈エコー(壁在血栓の探索)
心臓 心電図:高電位差変化、不整脈出現、さらに虚血性変化低K性変化(アルドステロンの増加を示唆)にも留意
胸部X線所見:心胸比拡大大動脈の蛇行・石灰化に注意
心臓超音波検査 心臓超音波による左室壁の肥厚が心電図上高電位差変化より早期に出現。
エルゴメーター運動負荷心電図 虚血性心疾患、糖尿病などの無症状に進行する狭心症の検出に有力
Holter心電図 24時間連続して心電図監視を自宅で行い、不整脈や狭心症の出現をモニターするのに有力
尿検査:1g/日以下の尿蛋白が出現するが血尿は認めない
腹部超音波検査:腎臓の硬化や腹部大動脈の動脈硬化、動脈瘤、血栓形成の観察に有力

治療、管理と予防

まずはダイエット、減量、アルコール制限、運動、食塩制限、禁煙が重要だ、それでもだめなら投薬が始まる。

この階段治療計画は1988年に提出された米国合同委員会からの第4次勧告(JNC IV)で高血圧の段階的治療が示されている。それによると原則的には非薬物療法から始めて無効であれば1剤を投与する。降圧不十分であれば増量あるいは第 2薬を併用する。以後同様の操作を反復し4剤併用でも効果が十分でなければ診断を含め再評価する。一方効果があれば step downも考える。

 軽症高血圧の治療開始時期に関しては上の図を参照にしてほしい。

高血圧対策は日常生活の中にポイントがある。
思い当たることはありませんか?

降圧薬の適応
各種降圧薬の適応病態と投与に際し注意を要する病態との組み合わせを示す

利尿薬 浮腫心不全高齢者低レニン
β遮断薬 頻脈期外収縮労作狭心症若年者高レニン
α遮断薬 閉塞性動脈疾患排尿障害高脂血症
交感神経抑制薬 不安不眠興奮
血管拡張薬 閉塞性動脈疾患
Ca拮抗薬 ジヒドロピリジン系:狭心症閉塞性動脈疾患高齢者
非ジヒドロピリジン系:狭心症閉塞性動脈疾患頻脈
ACE阻害薬 心不全糖尿病高レニン
ARB(推薦) 21世紀の血圧治療の根幹

降圧薬の使用禁忌
以下の表中左列の疾患を持病として持っている方々は、降圧薬の選択が自分にとって適正に行われているか良く考えてみよう。
注意が必要な病態は、よくある病態であり、医師の薬剤選択のセンスが問われる。

あなたの病態では・・ 副作用を考えると、使っちゃいけない降圧薬たち
喘息 β遮断薬
起立性低血圧 グアネチジン・α遮断薬
脳血管障害 グアネチジン・ヒドララジン
膠原病(抗核抗体陽性) ヒドララジン・ACE阻害薬
うっ血性心不全 β遮断薬
冠動脈疾患 ヒドララジン・グアネチジン
糖尿病 利尿薬・β遮断薬
痛風 利尿薬
高K血症 K保持性利尿薬
低K血症 利尿薬
肝疾患 αメチルドーパ
うつ病 レセルピン・メチルドーパクロニジン
偏頭痛 ヒドララジン
消化性潰瘍 レセルピン
末梢血管障害 β遮断薬利尿薬
腎不全 K保持性利尿薬・ACE阻害薬

ワンポイントアドバイス

中高齢者に高血圧が発生するのは極自然なことである。簡単な治療が、あなたの豊かな老後を保証する。できるだけ若いときに高血圧を発見し、できるだけ早くから治療に入り、高血圧の合併症(臓器障害)を予防することが重要であることを知って欲しい。高血圧であることを受け入れない姿勢はあなたの人生にとって大きなマイナスであることを認識して欲しい。高血圧であることを受け入れない人は、すでに脳動脈硬化症が進展していると考えてもいいだろう。

ACE阻害薬とARBの降圧作用は必ずしも強くない心筋血管壁保護作用やインスリン感受性の改善等の付加価値が強調されている。

Ca拮抗薬は現在オールマイティーの感がある
が血管拡張に伴う動悸などの副作用の発生は少なくない。日本でのファーストチョイスは現在でもCa拮抗薬であるが、これが諸外国では必ずしも頻用されていないところに危惧を感じるべき時代が我が国にもきている。

1997年11月に発表されたJNC VIではリスクに応じた治療法の選択が提唱されている。すなわち120/80mmHg以下を至適血圧とし心不全腎不全糖尿病があれば高値正常血圧で薬物療法を開始する。また心血管系合併症があれば140/90mmHgから早めの薬物療法の開始を勧めている。

単に血圧を下げればよいという時代(20世紀)は去り血管保護社会経済性および患者の quality of life(QOL)を考慮に入れた降圧療法が求められるようになってきた。その意味で従来の治療に付加してARB系統の新薬の出現が21世紀高血圧臨床に与えるインパクトに注目している。


2003年6月13日加筆

◎JNC VIからJNC Zへ重大な改変あり!
 1997年にJNC VI報告が公表されてから後に、参照すべき30以上の大規模臨床試験の結果が得られたことを受けて改訂作業が行われました。JNC 7は,臨床最前線の医師と高血圧患者様に愛用されるべく、明確で簡潔なガイドラインとなっています。

特に、血圧上昇による心血管合併症のリスクをより明確に示すことで,薬物治療に加えて、治療コンプライアンスの向上や公衆衛生的なアプローチについても詳述、まだまだ血圧のコントロール比率が低い状況(34%,米国)を積極的に改善していこうとする姿勢が読みとれます。詳細はNational Heart、Lung、and Blood Instituteのホームページをご参考にしてください。

◎血圧の分類−「高血圧前期」分類が新たに設定。

新定義:正常血圧は120/80mmHg未満!!!


JNC Zに比べ簡素化された分類法になっている。
JNC VIで至適血圧とされていた120/80mmHg未満は正常血圧に変わり、新たに「高血圧前期」が設定された。
このような厳しい基準では、ほとんどの人が高血圧患者に分類されてしまうと、皆さん多少憤慨されるかもしれない(笑)。

しかし、心臓・血管疾患の合併症の発症のリスクは、115/75mmHgという低い値から上昇を始め、血圧が20/10mmHg上昇するたびにリスクは倍増するという厳然としたデータに基づいたものである。

1)より低い血圧値から(言い換えれば若い時から)、ライフスタイルの適正化を図り、
2)高血圧への進展を予防することの重要性を示したものであり、
3)人生90年時代の後半の人生を満喫するためには、若年時からの厳格な血圧管理が必須であるということに尽きる。

◎治療計画−高血圧の良好なコントロールのために薬剤の併用を推奨
 目標血圧値は,JNC VIと同様140/90mmHg未満。糖尿病,慢性腎疾患患者は130/80mmHg未満とし、従来の130/85mmHgよりさらに低値に設定された。
 初期薬物選択は,合併症を伴う場合と伴わない場合(伴わない場合は血圧値によってステージ1と2)に大別され、従来の治療計画よりも使いやすい形に改良されている。利尿薬が主体となっているが、患者個々の状態を考慮してACE阻害薬、ARB、β遮断薬、Ca拮抗薬の使用を検討するなど、より個別治療を意識したものに改訂されています。血圧コントロールのために利尿薬と他剤を組み合わせた併用療法を推奨している点も特徴。

高血圧治療のための計画

◎降圧利尿剤の復権

私が医師になったころ(もう20年以上も前だ!)、しばしば用いられていた降圧利尿剤、これは大変便利な薬であった。しかし、いろいろな副作用の問題から近年使用されなくなっていた。

昨年発表された、ALLHATという高血圧治療の大規模臨床試験の結果が、今後の高血圧治療に大きなインパクトを与えている。

一言で言えば、「極少量の降圧利尿剤の併用が血圧の管理を改善している。」ということだ。

以前の降圧利尿薬の単独使用では、その副作用が大きな問題になったが、その投与量を25−50%に減量し、最新のほかの薬剤と併用することで、血圧の管理がさらに容易になるという。ここは、今後の高血圧の処方のブームになるポイントと思われる。

◎病態の異なる個々の症例の差を考慮した薬剤選択→エビデンスに基づく積極適応薬剤
 最近得られた、大規模臨床試験結果を採用し、下記の二つの改変を加えた。

1)脳卒中再発予防に利尿薬とACE阻害薬を(PROGRESSの臨床試験に基づく)

2)糖尿病合併例にCa拮抗薬を(ALLHATの臨床試験に基づく)

再度述べるが、専門家の間では降圧利尿薬の再登場は大きな脚光を浴びている。

各クラス薬剤の積極適応とする根拠となる臨床試験とガイドラインを示しておく。


JSH2004の全貌

日本人を対象とした血圧測定と臨床評価および高血圧治療の基本方針に変更が加えられた。
下記の3つのポイントは大変重要なのでぜひご一読いただき、今後の指針としたい。

血圧測定と臨床評価の変更点
治療の方針の変更点
生活習慣の修正の変更点

「血圧測定と臨床評価」の変更点
項目 JSH2004
家庭血圧

24時間自由行動下血圧
家庭血圧の高血圧:≧135/85mmHg
家庭血圧の正常血圧:<125/80mmHg

自由行動下血圧(24時間) ≧135/80mmHg
逆白衣高血圧
(仮面高血圧)
診療所での血圧は正常,診療所外では高血圧の状態。治療者,未治療を問わない。
早朝高血圧 起床後早朝の血圧が特異的に高い状況。
心血管病のリスクとなる。
夜間血圧 昼間の血圧レベルより
・正常型(dipper):10〜20%夜間降圧する
・夜間非降下型(non-dipper):0〜10%夜間降圧する
・夜間昇圧型(inverted-dipper):夜間が高い血圧を示すもの
・夜間過降圧型(extreme-dipper):20%以上の夜間降圧を認めるもの
成人における血圧値の分類(表2-1) 変更なし
心血管病の危険因子(表2-2)
・高血圧
・喫煙
・糖尿病
脂質代謝異常
(高コレステロール血症,低HDLコレステロール血症)
肥満(特に内臓肥満)
尿中微量アルブミン
・高齢(男性60歳以上,女性65歳以上)
・若年発症の心血管病の家族歴
臓器障害/心血管病(表2-3)
【脳】
  脳出血・脳梗塞,無症候性脳血管障害,一過性脳虚血発作,  認知機能障害
【心臓】
  左室肥大,狭心症・心筋梗塞,心不全
【腎臓】
  蛋白尿,腎障害・腎不全(血清クレアチニン男性≧1.3r/dl,女性≧1.2r/dl)
【血管】
  動脈硬化性プラーク,頸動脈内膜−中膜壁厚>0.9mm,大動脈解離,閉塞性動脈疾患
【眼底】
  高血圧性網膜症
      ※2003ESH/ESCガイドラインに準拠
高血圧患者のリスクの層別化 (表2-4) 血圧以外のリスク要因として,
 「糖尿病以外の1〜2個の危険因子あり」
 「糖尿病,臓器障害,心血管病,3個以上の危険因子のいずれかがある」
初診時の高血圧管理計画 (図2-1) 生活習慣の修正を指導
【血圧130〜139/80〜89mmHg】
 糖尿病・慢性腎疾患があれば適応となる降圧薬治療

【低リスク群】
 3ヵ月後に140/90mmHg以上ならば降圧薬治療
【中等リスク群】
 1ヵ月後に140/90mmHg以上ならば降圧薬治療
【高リスク群】
 直ちに降圧薬治療
「治療の方針」の変更点
項目 JSH2004(改訂・追加等を青字で記載)
降圧目標
(図3−1)
高齢者→140/90mmHg未満
若年・中年者→130/85mmHg未満
糖尿病患者・腎障害患者→130/80mmHg未満
「生活習慣の修正」の変更点
項目 JSH2004
生活習慣の修正項目
(表4-1)
1)食塩制限6g/日未満
2)野菜・果物の積極的摂取
 コレステロールや飽和脂肪酸の摂取を控える。
3)適正体重の維持
 BMI (体重(s)÷〔身長(m)〕2 )で25を超えない
4)運動療法
 心血管病のない高血圧患者が対象で,有酸素運動を毎日30分以上を目標に定期的に行う。
5)アルコール制限:
 エタノールで男性は20〜30ml/日以下,女性は10〜20ml/日以下。
6)禁煙
 生活習慣の複合的な修正はより効果的である。
※ただし,野菜・果物の積極的摂取は重篤な腎障害を伴うものでは,高K血症をきたす可能性があるので,推奨されない。また,果物の積極的摂取は摂取カロリーの増加につながることがあるので,糖尿病患者では推奨されない。

図表番号は『高血圧治療ガイドライン2004』原本の番号です。

2005年1月1日加筆


血圧の治療は誰が指導しても、結果が同じではないと考えるべきだ。もう一度貴方の内服している薬を評価してみるべき時期にきていると思ったほうが良い。特に早朝高血圧の発見に気をつけよう。

診察室でベストチョイスの発見にご協力します。ご相談をお待ちします。
 


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