乳酸脱水素酵素〔LDH〕
lactate dehydrogenase
基準値 200〜450IU/L
[検査データの読み方]
| 減少 | 200IU/L以下 |
[しばしば認める病気]H型サブユニット欠損症(ヘテロ接合体)、阻害因子(自己抗体) |
| 軽度増加 | 450〜600IU/L |
[しばしば認める病気]心不全、心筋症、慢性肝炎、肝硬変、悪性腫瘍、慢性腎炎、ネフローゼ症候群、 |
| 中等度増加 | 600〜 1、000IU/L |
[しばしば認める病気]悪性リンパ腫、リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、悪性腫瘍、皮膚筋炎、進行性筋ジストロフィー |
| 高度増加 | 1、000IU/L 以上 |
[しばしば認める病気]心筋梗塞、急性肝炎、急性骨髄性白血病、悪性リンパ腫、悪性貧血 |
[どうして異常値が出たのだろう？]
肝臓病か心臓病かはたまたガンか白血病か？これだけではなんともいえませんが、とても重要な指標です。
LDHが高い値を示す場合にはアイソザイムを利用して精密診断に挑みます。
乳酸脱水素酵素(LDH)は体内のすべての細胞に存在します。LDHには5種類のアイソザイムがあり組織ごとに含まれるアイソザイムが異なります。血清LDH活性の上昇は細胞の損傷による。したがって活性上昇の程度は組織障害の程度を表す。細胞からの遊出が止まれば血清LDH活性は正常化しますが、その消失の速さはアイソザイムにより異なります。
LDH５は消失が速い。LDH５が上昇する疾患（急性肝炎、うっ血性心不全）では、ほとんどその時期の障害の程度（臓器の痛み）を表している。LDH１は半減期が2〜3日と長く、LDH１が増加します急性心筋梗塞では2〜3週間前の障害を知ることができます。
各臓器のアイソザイムパターンには特徴があり、アイソザイム（精密検査）分画は損傷臓器の推定に役立ちます。その他の生化学的検査と合わせて考え、腹部超音波などの画像検査も並行して進めます。
[ワンポイントアドバイス]
(1)新生児は成人の約2倍。乳〜幼児期と漸減し、思春期以降一定値を示します。
(2)性差はほとんど認めないが、妊娠後期では上昇します。
(3)運動により上昇しますことがあります。
(4)食事による変動は認められないが、飲酒でわずかに上昇します。
(5)筋肉注射により上昇しますことがあります。
(6)EDTA、クエン酸などの抗凝固剤はLDHを阻害します。
(7)溶血（採血時の赤血球破壊）により高値を示します。
