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プロトピックの憂鬱

顔面・頚部には大変価値のある薬なんだがなぁ・・・・・・・・


【ワシントン10日共同】米食品医薬品局(FDA)は10日、藤沢薬品工業 (2005年4月から藤沢薬品工業は山之内製薬と合併しアステラス製薬株式会社となった。)が開発したアトピー性皮膚炎治療用軟こう「プロトピック」(一般名・タクロリ ムス水和物)について「発がんと関連している恐れがある」として、他の薬が効 かない場合に限り短期的に使うよう医師に呼び掛けた。販売元には、がんの潜在的な危険について、黒枠で囲んで目立たせる最も強い 警告表示を付けるよう求めた。同種の薬であるノバルティス社(スイス)の「エリデル」(日本未発売)についても同じ対応を要請した。プロトピックは、免疫抑制剤として開発された成分を塗り薬にした新薬。日本 では既に小児用が認可された2003年に「関連は明らかでないが、がんの報告 がある」との警告が添付文書に付けられた。 (共同通信) - 3月11日11時47分更新

英語の論文が読める方なら上記のリンクした用語をクリックしてみてください。


Webmasterの一言

ステロイドを顔面や頚部のアトピー性皮膚炎に長期使用していくと、かゆみはコントロール可能だが、皮下組織が薄くなり、ちりめん状の茶褐色の皮膚(dirty neck)が出現するようになる。この副作用はステロイドである限り避けられないものなのだ。プロトピックはステロイドではないので、このような副作用をおこさない。顔面や頚部は人の注目を受ける部分だから、できれば美容上の問題も考えるとステロイドよりはプロトピックを使用するほうが良いだろうと考えてきた。

 FDAというのは米国で言えば日本の厚生労働省のような働きをする政府機関。そこから上記のような警告が出されると、これまでのようにはプロトピックの処方をすることが困難となった。現在プロトピックを使用いただいている患者さんとはもう一度外来でこの問題について話し合う必要がある。

保湿剤だけでコントロールできる症例なら問題はないのだけど、他の薬が効かない場合に限り短期的に使うよう医師に呼び掛けられても、ほかの薬(ステロイド)には美容上の問題があるから困っちゃうんだなぁ。必ずがんになるわけでもないし。タバコの害ほどのリスクがあるなら販売中止にすべきだろうけど、今後の厚生労働省・学会・製薬会社の判断を待ちましょう。

 患者さんが少しでも心配とおっしゃるなら、美容上の問題はあきらめてステロイド(もちろんベースに保湿剤)を使用することになりそうだ。どうかお気軽に外来でご相談ください。
(電話問い合わせには応対できません。)

                                               2005年7月10日記す


「プロトピック(R)軟膏」の安全性について

2005年4月
アステラス製薬株式会社

当社のアトピー性皮膚炎治療剤『プロトピック(R)軟膏』(一般名:タクロリムス水和物)につきましては、国内では、1999年11月より成人用0.1%軟膏、2003年12月より小児(2歳以上)用 0.03%軟膏の発売を致しております。本製品は日本だけでなく、米国・欧州・アジアを含む30以上の国々で承認・販売されております。

プロトピック(R)軟膏の有用性は十分に証明されており、当社と致しましてはアトピー性皮膚炎にお悩みの患者様にとって有用な製品であると確信しております。

本製品につきましては、発がん性の懸念等が一部マスコミにおいて報道されましたが、世界で実施された臨床試験例1万9千人(小児7千6百人を含みます)及び市販後300万人以上の使用例において、発がんリスクの増加は認められておりません。当社が実施した動物試験(マウスがん原性)の成績、臨床試験から得られた本剤の血中濃度推移、さらに上記動物試験がヒトと比べたとき明らかにリンパ腫を好発することが知られているマウスを用いた試験であることを考慮しますと、添付文書に記載されております用法・用量で適正に使用していただければ、成人用、小児用とも安全性(発がん性)の問題は生じないものと判断しております。

当社は、今後も引き続き本剤が安全にお使いいただけるよう、適正使用の推進に真摯に取り組んでいく所存でございます。

米国アステラス製薬株式会社のホームページ


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