血中尿素窒素(BUN)
blood urea nitrogen
基準値 9〜21mg/dL
[検査データの読み方]
基準下限以下 | 9mg/dL 以下 |
[しばしばあるいは時に認める病気]肝不全、低蛋白食、妊娠、多尿(尿崩症など) 臨床の現場での意味合いは少ない。 |
軽度上昇 | 21〜30mg/dL | 消化管出血、脱水、心不全、閉塞性尿路病気 血清クレアチニン(Cr)、クレアチニンクリアランス(Ccr)で腎機能障害の有無を確認。 便色・便潜血・血算・心機能・水分の出入りのチェック。血清クレアチニン値の逆数が腎機能の推移を見るのに大変有用。 |
中等度上昇 | 30〜60mg/dL | [しばしばあるいは時に認める病気]腎機能障害、消化管出血、脱水、心不全、閉塞性尿路病気 Cr、Ccr(クレアチニンクリアランス)で腎機能障害の有無を確認。 |
高度上昇 | 60mg/dL 以上 |
[しばしば認める病気]腎不全(人工透析の準備を考える数値) |
[どうして異常値が出たのだろう?]腎臓が悪いのか、胃潰瘍から出血しているのか?高血圧が合併していないでしょうか?
腹部超音波、消化管検査、便色/便潜血・血算・心機能・水分の出入りチェックが必要ですね。
組織蛋白質や食事蛋白質の分解により生じたアミノ酸の脱アミノ反応により生じたアンモニアが、最終的に肝臓の尿素回路で代謝されて、尿素となります。 血中に放出された尿素は、腎糸球体で濾過された後35〜70%が尿細管で再吸収され、残りが尿中に排出される。尿細管の再吸収量は尿量に強く依存し、尿量が2mL/分(120mL/時間)以下では、尿量の減少に応じて再吸収量が増加します。 水利尿時には、主として近位尿細管で35〜40%が再吸収されるのみでありますが、尿濃縮時には、近位尿細管で約40%、遠位尿細管で約25%、計65%程度が再吸収されます。 |
BUNの異常は、主に腎からの尿素排泄異常を反映しているが、腎外性因子にも強く影響を受けます。すなわち(1)腎前性因子(脱水、心不全、出血など)による再吸収率の亢進や、(2)高蛋白食・消化管出血、組織の異化亢進/崩壊時の産生の亢進により増加します。したがって、一般臨床の現場ではBUNとCrを同時に測定し、BUN/Cr比が10以上であれば、腎外性因子が関与していると考える。逆に、低蛋白食や血液透析直後では、BUN/Cr比は10以下となります。
[ワンポイントアドバイス]
(1)日内変動あり。日中高く、夜間低い。
(2)性差あり男性は女性より10〜20%高い。
(3)高蛋白食、強度の運動で上昇。